PBL

和洋九段女子の新機軸 STEAM型PBL

和洋九段女子中学校・和洋九段女子高等学校(以降「和洋九段女子」と表記)は、21世紀型教育本格実施2年目で、はやくも新機軸を構想することになりました。この新機軸の発見は、準備期間も入れて3年間のPBLへの挑戦の成果でもあると中込校長先生は語ります。

同校の大きな特徴は、中学1年から高校1年生まで、生徒1人1台タブレットを活用するPBL(Problem based Learning)型授業が、すべてのクラスで実施されていることです。2020年には、全学年がこの環境になります。このような環境を教師一丸となって取り組んできたことにより、新機軸は、PBLのトリガークエスチョンを変えるアイデアだけで、飛躍的な学びのパワーを生み出すことになります。

もっとも、このトリガークエスチョンのアップデートこそが新たな難関であることは間違いないのですが、先生方はある大きな覚悟をもってその難関に挑んでいきます。

by 本間勇人 私立学校研究家

新井教頭先生は、「先生方は、個々に創意工夫をしてPBL型授業をデザインし、運営していきます。しかし、メタルーブリックが共有されていることと、ある一定水準のPBL型授業のフローチャートが標準搭載されていますから、生徒も学び方の型を体得できます。

私たちがトリガークエスチョンと呼んでいる正解が1つではない問題を考えることは、どの教科のPBL型授業でも行いますから、暗記をして要領よく勉強を終えてしまおうという生徒は一人もいません。苦行としての勉強から、好奇心旺盛に学ぶことの楽しさを体験していると思います」と。

また、「プレゼンテーションも、すべての授業で展開しています。PBL型授業を始めた当初は、恥ずかしいけれど、授業だからしかたがないから発表するという雰囲気もありました。しかし、今ではそれはありません。主体的・対話的な深い学びが、新学習指導要領で話題になっていますが、本校では、そのプロトタイプはすでにできていると、先生方も自信を持ち始めているところです」とも語ってくれました。

「そうなんですね。本当にここまで先生方がPBL型授業に挑戦してくれたおかげで、PBL型授業で、生徒がどのように成長していくかが日々実感できます。たしかに、プレゼンテーションの姿勢や声の抑揚や表情の豊かさ、タブレットの編集の仕方などは、学年があがるに連れて成長します。

やはり、好奇心をもって探究する蓄積が増えると、アウトプットしたい意欲がわいてくるし、理解してもらいたいと、伝えるだけではなく伝わるにはどうしたらよいか試行錯誤するようになっています」と中込校長先生は目を細めて説明してくれました。

PBL型授業の醍醐味は、好奇心が沸き上がること、互いに話し合う開放的精神の醸成、なぜだろうという問いを生み出すGrowth Mindsetが生成される学びのシステムだということなのです。このようなマインドセットが土台となれば、基礎学力は大いに伸びるという確信を先生方は抱いています。

そして、その確信や実感を共感共有しているだけではなく、上記の図のように、そのシステムを言語化・図式化して、学内で理論化するところまでカリキュラムマネージメントは進化しているのです。このように表現されるわけですから、PBL型の授業方法の標準搭載が教師に内在化され、PBL型学びの方法が生徒には標準搭載されるようになっているのです。

和洋九段女子のPBL型授業は、いきなりトリガークエスチョンを投げるわけではありません。反転授業やレクチャーアクティビティによって、トリガークエスチョンを取り巻く環境や歴史などの情報は提供されます。ですから、情報を取り出したり、整理したり、まとめたりする基礎学力もそこで十分学ぶことになります。

そのうえで、個人で考えたり、ペアワーク、ディスカッションをしていきます。その中で既存の情報や知識を活用しながら、さらに深堀していきます。知識の定着は、その過程で十分行われます。しかし、和洋九段女子の生徒も教師も、そこで満足しなくなっています。知識と知識が新しい知識を生み出すケミストリーが起こる瞬間を何度も体験しているからです。

このときの知的ワクワク感は、なんともいえない感動です。感動する授業の展開が満ちているのが和洋九段女子といっても過言ではありません。

そのような段階にきた和洋九段女子の様子をみていて、中込校長はハタと気づいたというのです。このPBL型授業は、グローバル教育や社会科など文科系には大いに力を発揮しているが、サイエンス系の授業はもっとパワフルにできるのではないかというのです。

女子校であるから、グローバル教育や文科系教科の授業が中心だと思われるかもしれないが、2030年までに達成する予定のSGDsにもあるように、ジェンダーの壁を超えるには、サイエンス・マスの領域でも、もっとパワフルなPBL型授業にしたいと思ったというのです。

もちろん、今のままでも、実験や論理的思考が養われているから問題はないのですが、AI社会にすぐに役立つオーセンティックなサイエンス・マスのPBL型授業は考えないわけにはいかないということです。

中込先生は、化学の教科書も執筆していますから、はやくも2030年の次期学習指導要領を考慮した化学の教科書の在り方についてミーティングする機会があるそうです。その機会で、この新しいサイエンス系のPBL型授業を提案したそうです。そして、いよいよ和洋九段女子の高校生のPBL授業は新たな段階にバージョンアップできるのではないかと確信したということです。

今までのサイエンス系の実験は、すでに結果がわかる実験の追体験でした。これは予定調和で、行為としてはPBLのように学びますが、正解が1つではないトリガークエスチョンを思考錯誤しているとはいえません。そこで、たとえば、金属イオンの同定実験で、はじめに提供する試料のための試薬を、教科書で定められたものとは違うものを生徒自身が選択してつくるところからはじめました。

今までの教科書に合わせると、すでに金属イオンの系統分析のアルゴリズムは決まっていて、実験をしなくても暗記すればそれでよかったのです。ところが、100通り以上もある選択肢から、自ら選んで、沈殿を生成して金属イオンを同定していく新しい実験は、そもそも想定していた沈殿物とはまったく違うものが生まれたりして、同定するのに試行錯誤を繰り返すことになります。

微妙な条件によって変わりますから、結果がどうなるかは教師も生徒もわからないのです。実際に挑戦してみて、教師も生徒もスリリングな思考過程に没入していくことがわかりました。

中込校長は、「これは大きな発見でした。この2年間積み上げてきたPBLがあったからできたのですが、同時に今までのPBLで投げかけていたトリガークエスチョンは、教師はある程度解答を想定できていた。予定調和ではないけれど、ある範囲の中で生徒が問題解決してくることがわかっていました。

しかし、今回のは、ハードルがあがりました。教師にとっても生徒にとっても想定外の結果が出てくるのです。これはトリガ―クエスチョンというより、ブラックボックスそのもので、エニグマクエスチョンと呼んだほうが適切かもしれません。

完全に教師と生徒がフラットな関係で学ぶことになります。これこそサイエンスの醍醐味です。サイエンスに権威はいらないのです。客観的な科学的思考に権威は壁にしかならないでしょう。これこそ、STEAM教育の醍醐味だと思います」と目をキラキラさせて説明してくれました。

(Raspberry Pi 3 Model B+。写真は、The Raspberry Pi Foundationのサイトから)

しかし、新機軸はこれだけではなかったのです。2040年、今の小学校6年生が34歳になり、いろいろな組織で中堅のリーダーになっていると思いますが、そのときAI社会に直面しています。コンピュータの高度技術は、男女関係なく必須です。イギリス、カナダ、香港、シンガポール、上海、インド、韓国などでは、コンピュータサイエンスにおいて、すでに、論理的思考習得段階にとどまらず、プログラミングやアプリ作成など、実践的技術を身につける段階に進んでいます。

日本はだいぶ遅れをとっていますから、和洋九段女子は先見性を発揮して進もうというのです。現状のPBL型授業ではコンピュータを使う側ですが、今回の新機軸では、創る側にもなろうというのです。これこそSTEAM教育の眼目ではないかと中込校長先生は言います。

Raspberry Piというマイクロコンピュータを使って、コンピュータのシステムを学び、様々なデバイスをつなぎ、パソコン、スマートフォン、オーディオ、ゲーム、アプリなど創意工夫次第でなんでも創っていくっことができます。IoTも可能です。一般には、コンピュータそれ自体は既成のものを活用しますが、和洋九段女子は、そのシステムを分析するところからはじめ、多様なデバイスと統合し、イノベーションを創発していくプロセスを体験していくのです。

このRaspberry Pi自体は、5000円前後で手に入れることができるので、タブレット同様、1人1台いや1人1枚活用して学んでいくということです。一般にSTEAM教育というと大学の先生や企業のスタッフなどと連携するのが常套手段ですが、和洋九段女子はトリガークエスチョンからコンピュータサイエンスのプログラムまで自前でできてしまいます。

これは、学校全体でPBL型授業開発に挑んできた大きな成果なのです。女子校として、ここまでグローバル教育、PBL型授業、STEAM教育を極めているところは少ないでしょう。新しい女子校の誕生です。

工学院 創造的緊張感を持続する組織(2)

工学院は、「挑戦・創造・貢献」を理念としています。この根本には「自由」があります。自由が前提だからこそ「挑戦・創造・貢献」が可能なのです。エントランスホールには「真理は自由にす」というグローバル精神が刻印されているぐらいです。

「自由」。もちろん、「自律」と表裏一体ですから、個人主義とは違います。「貢献」という理念がそれを支えています。さて、この意味での「自由」が、授業の中にも反映されているために、正解が1つでない問いが中心となる創造型PBL授業ができるわけです。つまり、「真理が自由にす」という自由が文化遺伝子としてあったからこそ21世紀型教育にも踏み出せたのでしょう。

工学院のPBLは、「自由」が基調としてあるので、「好奇心」「開放的精神」「探究心」が生まれてきます。まずは「好奇心」。興味と関心のあるところから出発します。しかし、授業は単元という決められた学習項目があらかじめ設定されています。

この制約された枠組みの中で、しかし、生徒1人1人が、はじめは興味はなかったけれど、あれあれっと好奇心が湧いてきたとなるように授業をデザインするのがPBLやPILなのです。なぜ興味や関心が、後から生まれてくるのか?それは多様な環境、多様な学習道具、そして、なんといっても「対話」があるからなのです。

多様な環境に関しては、世界中いろいろな場所でフィールドワークする機会があります。これについては、いずれまたインタビューしたいと思います。多様な道具とは、同校の図書館を訪れれば、ラインナップがずらりとあることに驚かされます。

レゴや3Dプリンターがずらり並ぶFab Labスペース。どちらも、ICTが背景にあるのは言うまでもありません。

もちろん、教養にとって大切な図書も。しかし、ちょっと少ないのではと思う方もいるでしょう。しかし、大丈夫。

電子図書として、クラウド上に書籍は無限に存在します。生徒は、パソコンやタブレットとIDカードで教養の世界を広げます。

英語の多読スペースでは、英語の文献がずらり。

もちろん、進路関連図書のスペースもあります。

これらすべてが、工学院の学習道具で、授業、探究論文、海外留学、国内外のフィールドワーク、プログラミングなど多様な学びで大活躍するわけです。

そして、多様な道具を活用するということは、自ずと授業の対話のスタイルも多様になります。

わかりやすいのは、グループワーク型の対話です。サークルという空間は、対話に適しているからでしょう。

生徒―パソコン―電子黒板ーwebーアプリ―教師というスタイルは、リアルには、普通のスクール形式ですが、脳内では複眼思考が飛び交う対話になっています。

ドラマトゥルギーな学びの空間が対話を生み出す時間にもなります。

英語のエッセイライティングの授業は、生徒と生徒の対話と生徒と教師の対話が交差して、思考に没入する空間が出現しています。

教科としての「数学」と「数学的思考」が交差するには、対話の機会を授業に取り入れます。いろいろな解法があることに気づくには、対話が最適です。しかし、なぜそのような違いがあるのかメタ的な教師による問いかけは、数学的思考を召喚します。

工学院のPBLは、目の前の問題の多角的な解法への気づきとなぜそのような多角的な解法が可能なのかというメタ的な気づきの複眼思考があるからシリアスで楽しいのです。多角的な解法を教え合うだけではなく、その思考を通して、他の問いの考えにつないでいくという世界の扉を次々と開いていく躍動感。それは、生徒1人ひとりの進路を切り拓くエネルギーに転換していくでしょう。

かくして、多様な学びの空間、多様な学びの道具、多様な対話のスタイルという複雑系が、シンプルに創造的思考のリズムとなって学内を満たしているのは、創造的な緊張感が背景にあるからなのです。

 

 

 

工学院 創造的緊張感を持続する組織(1)

工学院大学附属中学校・高等学校(以降「工学院」と表記)は、八王子という私立中高一貫校志望者が23区に比べかなり少ないエリアにあります。もともと日本の私立中高一貫校に進学する割合は、全国の同年齢人口の7%。一般には公立中学と私立中学の選択を考える家庭は少ないのです。

一方東京の23区は、区によっては20%近く進学を考える層がいる私立中学受験王国です。ところが、八王子エリアはというと、同じ東京都にありながら、全国レベル。東京における私立学校の経営としては、極めて不利な困難を極める立地条件です。

それがゆえに、このエリアでサバイブするために、先生方はイノベーティブな教育活動を徹底しています。by 本間勇人 私立学校研究家

(中学の理科の授業、Fab Labも備えた図書館で創造型PBL授業。工学院のPBL授業のプロトタイプ。)

このイノベーティブな教育活動は、しかし、並大抵のものではありません。23区で行われている程度のイノベーティブな教育活動では、差別化されませんから、その困難な立地条件を好条件に転換することは難しいでしょう。

そうなると、学内は、歴史的論理必然的に、質を高めるか結果を出すかという緊張感が生まれます。工学院としては、突出した21世紀型教育というビジョンを掲げて、「挑戦・創造・貢献」という理念を実現しようとしています。

しかし、その前に大学進学実績ではないかという議論が、巻き起こるのは世の常です。前者の中心は、創造型PBL(Project based Learning)授業です。後者は、戦略的PIL(Peer Instruction Learning)です。一般的には、アクティブラーニングと講義ということになるでしょう。

工学院は、このアクティブラーニングと講義の拮抗を解消し、PBLとPILという形で、生徒がどちらにおいても主体的に自律的に対話的に考えプレゼンできるような仕掛けを作っています。

とはいえ、それは理想的な平衡状態で、針が揺れるのが現状です。そのときに、PBLだけに偏るのか、PILという講義だけに偏るのか、それとも統合しようとするのか。もちろん、統合しようとします。それゆえ、学内は常に創造的緊張感が走っています。

これは、他校ではなかなかない状態です。どちらか一方に決めてしまうのが楽だからです。ところが工学院は、創造的緊張感を持続する道を歩んでいます。いばらの道ではありますが、その向こうには生徒にとってはもちろん、教師にとっても、学校にとっても、八王子エリアにとっても、最終的にはグローバルなエリアにおいても「希望」が待っているからです。

21世紀はある意味産業革命以来の大転換を意味するエポックメイキングな時代です。帝国や近代国家の歯車としての一員として背景にある個人ではなく、自由・平等・博愛を1人の力でも主張できる自律協働創発型人材の時代です。そのような時代は、それぞれ個人の考え方や価値観が衝突するのは当然です。

そのとき、違うもの同士がいがみ合い、互いを排除し分断を造るのか、創造的緊張感を発揮して、自律協働創造的な社会を創っていくのか。工学院は後者を選んだのです。

教務主任の田中先生は、「本校のビジョンはなかなか高邁なのです。ですから、立ち臨むには、Growth Mindsetが大切です。しかし、私たちだけがそうなっても、八王子エリアの教育文化とのギャップを感じたとき、やはり私たちも情緒的に不安定になって、ある意味パニックになります。すると、その立ち臨むテンションは萎えて、ビジョンを引き下げようという圧力が働くときもあります。

しかし、原点に立ち返り、再び創造的緊張感を共有し、ビジョンを確認し合います。そして、その実現の活動をするわけですが、創造的緊張感と情緒的緊張感は常に同居していますから、現実はそう簡単に進みません。

にもかかわらず、やらんくてはならないのです。そこで、私たちのこのビジョンの原点は思考コード創出でしたから、今年は、教員全員一人ひとりが、自分のやりたいことを思考コードで表現することにしました。

思考コードに刻まれたコンテンツは、1人ひとり違います。しかし、思考コードを共有するという意味では、個々の力を尊重しながらもベクトルは共通しているということになります。」

この個々違うけれど、大きなベクトルを共に歩むというアクロバティックな組織作りを田中先生は、教員と一丸となってやっているわけです。

ですから、田中先生と思考コードを中心になって創出した櫻坂先生の授業などは、戦略型PIL授業と創造的PBL型授業の両者を授業の中に丁寧に取り入れているのです。

しかも、プロジェクトというのは、あるテーマを客観的に追究するだけの作業ではありません。生徒自らが、自らを勇気をもって、その世界に投げ込み、根源的な問題に触れながら、自分の歩む道が拓かれる行為でもあります。つまり、プロジェクト型の学びは同時にキャリアデザインになっているのですが、櫻坂先生の授業は、そういう多層の意味があります。したがって、密度の高い授業で、ある意味学び=祭りになっていて、生徒はHard Funを体験しています。

三田国際は魔法学校。 今まで誰も見たことのない一条校。

9月29日(土)、三田国際学園中学校・高等学校(以降「三田国際」と表記)は、Open Dayを開催しました。関東圏の中高一貫校で唯一のApple Distinguished School(全世界400校)として、尖ったICTの活用をした授業を、全国の教員対象に公開したのです。

同学園は、iTunesUというバーチャルとリアルな学びの場を統合するシステムを活用して、創造的な思考力を養う授業を、すべての教科で、すべての教師が、すべての生徒が展開しています。その創意工夫に満ちた多様な授業が全開されました。

全国から参加した教師は、みなその様子に驚愕。IPadやMacBookを手に、表やグラフやエッセイを作成しながらディスカッションしている様子は、もはや今まで見たことがない学校だったからです。
 

プログラミングで、スフィロは、スターウォーズで登場するドロイドよろしく動いていました。紫の閃光を放ちながら動かしている様子は、あたかも魔法を使っているかのようでした。分科会で、ディスカッションも交えてのリフレクションに、自分たちはどうすればできるのか、自分たちももしかしたらできるのではないかというGrowth Mindsetされていく姿は、三田国際に魅力を感じて入学してくる生徒の様子に重なっていたのです。by 本間勇人 私立学校研究家

一般に、授業というのは、情報xをインプットして、知識として定着させてxを再生産するものです。しかし、三田国際学園では、創造生産するのが授業です。情報xをインプットすると、yという新しいもが創造されるのです。しかし、大事なことは、x→xではなくてx→yということだけではなく、むしろその→のプロセスを発見したり、自分で創ったりすることなのです。

たとえば、プログラミングによって、スフィロの回転運動を操作していくのですが、その操作を憶えるテクニカルな問題以上に重要なのは、プログラミングそのものを学ぶ創造的なマインドセットなのです。

つまり、y=f(x)の関数がどうなっているを解明する思考力、さらに関数そのものを自分で創る思考力が最も重要なのです。興味あるものの情報をリサーチしてインプットして、自分のものの見方や考え方、感じ方をカタチにするとき、その過程の仕掛け=関数関係はどうなったいるのか、どうすればよいのかがわからなければ、人から与えられた道具をただ使っているだけで、自分で創造的に問題を解決することはできないのです。

近代科学を開いたルネサンスにおいて、錬金術師は、まさに自分で方程式を解明し創っていきました。自然にあふれる情報を、どうやって人間の文明や文化に活用できるのか、その関数関係=方程式を考案していきました。

あのニュートンも、今でこそ近代科学の父の1人として称されますが、当時は錬金術師というイメージの方が強かったでしょう。すなわち、三田国際は、あの落合陽一氏ではないですが、現代の魔法使いをトレーニングする学校だと言っても過言はないでしょう。

連想とは何か、どんな仕掛けで連想は生まれるのかという議論を、インプット→ブラックスボックス→アウトプットという流れでしているクラスがありました。しばらくすると、教師が自らつくったアプリだと思いますが、任意の数字をどんどん入力してある数字が出てくる操作をiPadでやりながら、今度はブラックボックス部分の方程式について議論していました。

数学の授業だったのです。連想の過程も、計算の過程も、対象としては、あるいは素材としては違いますが、論理的な過程があることに代わりはないという、数学的思考力=アルゴリズム=関数関係を生み出す授業だったのです。

なるほど、プログラミング、連想過程、方程式というのは、教科が違ったり、対象や素材が違っても、y=f(x)という知識再生産ではなく、知識創造生産を行っていたわけで、それができるのは、関数関係を見出す力、創り出す力が必要なわけです。

インターナショナルクラスでは、SGDsについて、世界に広がる多様な問題を改善する方法を英語で議論し、考えていました。グローバルイシューの多様な情報をインプットし、幸せになるとはどういうことかという解決目標をアウトプットすることができても、その目標達成の実現の仕掛け=方程式をどう作るのかということに力点が置かれていました。

あらゆるものを関数関係という発想で、解決しようとした数学者や哲学者は、たとえばバートランド・ラッセルやエルンスト・カッシーラーのように、たくさんいますが、いまだにその知恵の輪は解けていません。

三田国際という現代の魔法学校ならそれはできるかもしれません。

理科の授業では、弾む物体を弾まないようにするにはどうしたらよいかというトリガークエスチョンを、実験によって検証していました。同じ球の容器の中に、条件を変えて詰め物をして、実験していきます。その姿を動画で撮り、自分たちの仮説の検証をプレゼンする時のモニタリング用の動画も作成していました。

この授業も多様な条件の違う素材を入力して、結果が違ってくるのは、なぜか、y=f(x)を解き明かしていたわけです。

美術の授業では、ある音楽をインプットしたときに、どんなイメージがアウトプットされるか絵で表現していました。しかし、それで終わるのではなく、その絵をアプリに取り込んで、音楽や動作を交えて、音楽を聞いたときにイメージされる感情や発想、絵画などの表現がどのようにでてくるのか動画にまでしていたのです。

MST(メディカルサイエンステクノロジー)クラスの英語の授業は、各国の情報をリサーチして、チーム内で、それぞれ自分の考えをアウトプットし、シェアしていました。この授業がMSTの特徴をどのように反映しているのか、生徒に訪ねてみると、メンバーのいろいろな考え方の過程をしることで、国の特徴を捉える方法が見えてくるし、特色を表現する際、表やグラフなど数学的な発想のものを使いますからと明快に解答が返ってきたのです。

実は、どのクラスでも尋ねてみたのですが、同じように俊敏な反応がかえってきます。いったいなぜか?それはいつでもどこでも、iTunesUにアクセスすれば、自分は今何を何のためにどうやって学んでいるのかシラバスがはっきりしているし、eポートフォリオでリフレクション過程がみえてくるからです。

三田国際のメタルーブリックは、シンプルですが、それがゆえに、教科ごと単元ごとに具体的なルーブリックが同じ構造で多様に展開しています。拡散と収束のシステムができあがています。しかも、教師も生徒も共有しているのです。そして、それが、トリガークエスチョンのインプット、その解決策のアウトプット。そしてその過程としてのPBLの学びという授業にきっちり反映しています。つまり、授業そのものが、y=f(x)になっているのです。

休み時間に実験室の近くを歩いていくと、MSTクラスの生徒が、実験をしていました。何をやっているのか尋ねると、校内や近くの公園などから採集してきた植物の遺伝子を分析して、将来抗生物質などのように役立つ遺伝子を身近なところから見つけられないか研究しているということでした。

この遺伝子の研究方法について、丁寧に解説してくれましたが、あまりに専門的すぎて、にわかにわかりませんでした。しかし、彼らがすでに学部レベル以上の研究をしていることはわかりました。アメリカのAP(アドバンストプレイスメント)プログラム級のカリキュラムがMSTクラスで行われていると大橋清貫学園長には聞いてはいましたが、なるほどこれは凄いと実感できました。

OPEN DAYの最終プログラムは、参加した教員が興味をもった授業のリフレクションのための分科会に参加するものでした。その中で、教頭田中潤先生は、このようなiTunesUをはじめとするICTを活用して、すべての教師がすべての生徒とまったく新しい授業を創っていくことはいかにして可能かについて、参加者と議論しシェアしていました。

魔法学校の授業やカリキュラムができる背景には、組織マネジメント論が存在し、それが学内全体で共有されていなければならないのですが、そのシェアの方法もまた、y=f(x)を創り出すことだったのです。点としてのxやyを作るだけでは、新しい学びの文化資本はできません。文化となるには、持続可能性がなければなりません。

教師一人ひとりの力を養うだけではなく、チームとして共有して活用してルーチンになることが大切です。しかし、その道のりは結構いばらの道です。クラッシュする場合もあります。動かざるごと山のごとしの場合もあります。

改革がうまくいく方法について、参加者が額を集めて考え対話していました。田中先生は、そこからまた新しいアイデアを思い付いたようでした。いずれ、それは公表されるでしょう。

 

 

 

 

工学院の進路指導(了)受験勉強を通して本質をつかむ

三人の卒業生の座談会を終えて、そこに立ち会った校長平方邦行先生と進路指導部主任の新井利典先生は、すぐにリフレクションしていました。新しいハイブリッドとしてのクラスやコース分けが完成したのは、今の中1から高1。高2はプレ改革期で、ハイブリッドインターコースが、週に一度工学院大学の新宿キャンパスで、大学の講義なども受講するようになりました。

したがって、今春の卒業生は、システムとしての21世紀型教育改革の影響は受けていません。しかし、今回の座談会を通して、その改革の精神的な良い影響があったのではないかと、先生方は手ごたえを感じつつ、一方で新たに洗練していく部分も発見し、対話がどんどん広がっていきました。

(左から進路指導部主任新井利典先生、校長平方邦行先生。二人の対話はさらに詰めていくポイントをめぐって、広がっていきました。)

平方:今回の座談会で、たしかにシステムや制度として、改革の影響を受けていないけれど、授業や「探究論文」という場で、教師とのコミュニケーションを通して、これらから必要となる英語4技能のトレーニングや論理的思考や創造的思考を身につける環境はあったのだと手ごたえを感じることができました。ICTも、今の高1までは、タブレットやラップトップ1人1台の環境になったけれど、電子黒板は、どのクラスでも活用できるようにはしていた。

だから、PBL形式の授業を全面的に展開はしていないけれど、教師によっては、すでに行っていた。そういう意味では、改革の文化的な背景や精神的な部分は、学内全体に広がっていたと感じました。

新井:たしかに、成長したと改めて実感しました。今日の3人の中には、彼らが高1の時に担任だった生徒もいて、あのときから比べて本当に大きく成長したと思います。私は、校長のように6年間全体をマクロの視点で眺めて改革を実行する立場ではなく、まずは高2・高3の進路指導のシステムを盤石にしようとしています。もちろん、それが高1や中学の教育活動に結びついていくようにしていくつもりです。

ただし、結びつくということは、受験体制/耐性の文化の再生産が好循環しだすことです。形式だけが表面的に動いても意味がないと感じています。それで、今年で2年目になりますが、「合格体験記・進学参考資料」をつくっています。先輩が後輩に伝え、再生産していくには言葉で伝えていくことが基本です。

平方:そういう意味では、これだけ自分の言葉で、受験勉強の体験や入試攻略の戦略について執筆できているということは、その文化の再生が生まれていることを示していると思います。おそらく、これはeポートフォリオの1つのモデルになるとも思います。また、考えてみれば、2020年の大学入試改革が工学院の改革のきっかけではなく、時代を読み取った結果、先駆け的に、初めから英語4技能へ移行したし、PBL型授業及び探究論文を通して深く学んでいく、自分で考えていく、自分の好きなものを見い出していくということを学内で共有はできていたと思います。

新井:今回の3人の生徒は、執筆もそうですが、自分の言葉で話すことができたし、よく考えて互いの話を理解し、ツッコミも入れられていましたから、たしかに、受験体制/耐性への文化の再生産が循環し始めていると思います。ただ、文化の再生産とは、在校生全員が、最終的にリフレクションが自分でできるようになるということですから、どの生徒もどこのクラスもどこの学年も徹底して実現できているかどうかといえば、まだまだこれからだと思います。

平方:英語の教科会議などは、英語でやっているし、ケンブリッジ英検を導入して、日本初のケンブリッジイングリッシュスクールにも認定されるようになりました。CLILという英語で教科横断的な学びができる手法も英語科を中心に広げています。ある意味、進路指導部の縦の線の循環と英語科のCLILやCEFRでハイレベルの思考力を学ぶ授業展開が水平に広がっています。多くの海外研修や体験もあって、自分の興味あるものや好きなものを見つけやすい環境にもなってきたと思います。

新井:たしかに、多様なプログラムで満ちています。やはり今日の菅谷くんではないけれど、はやめに自分の好きなものが見つかると、早い段階で、詳細な学部学科を調べるモチベーションがあがり、漠然としてではなく、明快に進む道が見えてきます。アドバイスもピンポイントでできるようになります。そうすると、その目標に向かって受験勉強にも力が入ります。木戸くんの場合もそうだったけれど、受験勉強を通して学ぶことを楽しめるようになります。

早川くんは、どちらかというと目標よりも先に、中学のころから成績がある程度よかったために、自分でも言っていましたが、進む道が決まるのが少し遅かった。だから、フワーッとしていた早川くんと、追い込む早川くんの変貌ぶりがなかなか興味深かったですね。しかし、3人の高3最後の受験勉強は、自分で戦略や作戦を組み立てて取り組んでいた。資質や素養が良ければ、それでよいというのではなくて、せっかくの素質を実現するのに活用するには、どうしても戦略的な学びは必要になります。

平方:好奇心や関心のあるものを見つける体験やプログラムは楽しいからね。ただ、体験やプログラムをやることが目的になってしまうと、深い学びにつながらないから、そこは注意が必要です。

新井:そうなんです。楽しいとかおもしろいには、やはり段階があると思うのです。娯楽的な楽しさの段階と知的でアカデミックな楽しさとは違いがある。そこは今日の3人はよくわかっていました。木戸くんは、教員になるための勉強をしているというより、すでに現場の教師という立場で語っていたし、早川くんも、法律の勉強をしているというより、紛争解決する側に立って語っていました。一番わかりやすかったのは、菅谷くんでした。ゲームやパソコンのユーザで満足するのではなく、創る側に立って語ってくれました。

平方:授業や研修も同じです。その向こうに深い学びを探究する楽しみを導けるかです。これは言うは易くなかなか難しい。

新井:そこですね。娯楽的な楽しさは、いろいろなことを結びつけて、それはそれで楽しいのですが、何でもよいと拡散分散して終わってしまいがちです。そこは、私たちも気を付けないといけません。もちろん、拡散はよいです。視野を広げるし、脳を活性化するのですから。しかし、そのあと収束して、いろいろ結びついたときに概念として最適化しなければ意味がありません。

この概念を生成することは、極めて創造的な作業だと思っています。菅谷くんは、自分でも言っていましたが、そこの詰めがないと、乗り越えられない学問のハードルがあります。そのハードルを乗り越える体験は、大学に入ってからでよいとは、私は考えていません。

受験勉強してそれで終わりという進路指導をしたくない理由はそこにあります。受験勉強を通して、拡散と収束の学びを身につけ、その反復が、だんだん螺旋階段を登っていくような感じになって、学問的に難しいハードルも乗り越えられる瞬発力や学ぶ力、考える力を身につけて欲しいと思います。

平方:そして、そうなることを、今日の3人だけではなくて、工学院の生徒すべてに望むわけだけれど、それには学内全体がそういう方向で動けるようにマネジメントしていくことが大切だと思っています。

新井:そうですね。私の言葉では、学ぶことが楽しいという文化の再生産ということに尽きると思います。がんばります。

 

 

 

 

 

 

 

工学院の進路指導(2)中高時代の学びが大学で役に立つ

昨年に続き、今春の卒業生たちも、それぞれ「合格体体験記」を後輩のために残しました。この分厚い冊子を編集した進路指導部主任新井利典先生は巻頭言でこう語っています。

「今年度は17名の卒業生が執筆を引き受けてくれたたため、100ページを超える大作となりました。・・・これを読む在校生は、卒業生からのメッセージだと捉え、自分の学びに生かしてほしいと思います。」

「一人一人の個性が違うように、学び方も人それぞれです。自分自身の勉強方法は、周りのアドバイスに謙虚に耳を傾けながら、自分自身で模索するしかないのです。そのことを忘れずに、先輩たちの経験を参考にしてみてください」。

Q:中高時代の部活や自分なりの学び方を模索した経験は、大学に入って生きていますか?

菅谷:そうですね。コンピュータ関連の企業に就職したいと思っているので、そのために今は、基礎的な数学や物理の勉強は継続的に行っていますね。理系の場合は、研究室に入って、そこから研究室のネットワークで就職していきますから、基礎的な学びをベースに本格的に研究していきます。そういう意味では、受験科目で数学と物理はとっていたので、直接役に立っています。また、研究という点では、ユーザーではなくつくる側の視点に立って、興味を抱いて学んでいった体験は役に立つだろうとは思います。

ただ、思っていた以上に大学の講義は難しいですね。ある意味壁です。

Q:それは新たな分野が出てきたということですか?

菅谷:そういうことではなく、高校時代と大学時代では、やはり先生方の教え方が違っているということかなと思います。高校時代は、正解の出す過程も含めてかなり丁寧に取り組むことができました。正解のない課題論文のような学びも、そうはいっても先生はアドバイスやサポートしてくれましたが、大学は丁寧には教えてもらえないですね。自分で文献を探して理解していかなければならないけれど、そもそも解答を丁寧に解説してくれている文献がないことが多いです。

だから、自分で考えたり深く探究する高校時代の学びは、役に立ちますが、高校と大学では、考えてみれば当たり前ですが、レベルが違いすぎるかもしれません。でも、それを乗り越えれば、何かが見えてくるだろうし、そうでない場合は、ちょっと困りますね。

いずれにしても目先のことだけこなして満足するような勉強は高校時代はやめたほうがよいと思いました。

早川:今、自分は法律を勉強していますが、やはり紛争のケースメソッドは、正解がないので、多角的な視点から自分で考えていく必要があります。数学を学んでいたし、受験も数学だったということもあり、論理的に考えていくという中高時代の学びは、そのまま役に立っています。

Q:法律のイメージは、判例をある程度参考にしたり、条文を暗記したりすれば、解決するという感覚なのですが、いかがですか?

早川:もちろん、判例や条文は大切ですが、紛争や事件は、パターンは似ていても、やはり違うところがあり、判例や条文を暗記したからといって、そのまま適用できるというものではありません。そんな小手先の勉強をしていくと、立ち行かなくなるという実感はあります。それにロースクールに進学する学び自体が、昔の司法試験とはだいぶ違って、かなり正解のない問題をいかに解決するかという探究に重きが置かれています。

木戸:中学のころから教師になりたいと思って、自分の部活や勉強の文武両道という信念を貫いてきたことは、やはりそのまま役に立っています。それができるには、好きなことを見つける・興味のあることを見つけることが大切だということも、今の教育の勉強の中で、間違っていなかったと確信しています。

ただ、好きなことが見つけられないとか、興味のあることがわからにという生徒が多いということもわかってきました。そのような生徒をどう導くか、今そこに一番関心があります。

Q:やはり木戸くんは、大学入学半年にして、教師としての自覚がでてきているということですね。それにしても、現役の教師もそれは難しいと思っていることでしょう。どう解決しようと考えているのですか?

木戸:ありがとうございます。それは、やはりいろいろな体験や遊びを共にしながら、対話していくことだと今は思っています。体験や遊び、学びを通して、その生徒が得意だったり、好きなことだったり、そんなところが必ず現れてくると思います。そこから出発して導いていくことができたらと思います。もちろん、どこかで手を離さなければならないのですが、そのタイミングは一人一人違うので、持続して生徒が学んでいける様子を見守ることは必要だと思います。子供たちが、新しい自分に出遭えたらよいかなと思っています。

Q:それは、木戸くん自身がロールモデルということですね。早川くんも菅谷くんの場合も同じですね。こんなに善きロールモデルの体験が、重要だとは改めてすごいなと思いました。最後に、受験勉強というのはみなさんにとっては、価値あるものでしたか?

菅谷:もちろん、ありました。自分は、追い込みという方法はとりませんでした。コンスタントに計画的に勉強していくことで、メンタル面が安定するので、時間とか計画とか大事にしていました。過去問を解いていくときも、闇雲に解くというよりも、合格点をとるためにどの問題からはじめ、極端な場合は、捨てる問題を判断する時もありました。問題の難易度を見極めることは重要でしたね。時間配分と優先順位を念頭に置いていたのだと思います。

早川:自分の場合は、菅谷くんのように、コツコツやるタイプではなく、やる時はやるし、やらない時はやらないというタイプでした。さすがに、高3のバレーの部活を6月に終えたときからは、追い込みをかけました。自分は、英語は中学のときにすでに英検2級をとっていたので、油断したというコトもあります。

数学は得意というほどではなかったですか、社会に比べればなんとかなるなと思っていたので、数学に力を入れました。英語の成績もがくっと下がった経験もして、得意科目でもちゃんと勉強しなければということを学びましたね。現代文に関しては、しっくりこなかったという意識がありました。そういう意味では、受験勉強は自分を知る意味でとても価値があったと思います。

木戸:自分は国公立を目指していましたから、センター試験一筋で学びました。センター試験は英語の方が現代文より攻略しやすかったですね。英語の長文と現代文の長文の問いの作り方が違っていて、英語の方がより客観的な理解を促す問いが配列されているのに、現代文は、作問者の意図がどうしても反映していて、それを見抜くということが必要になります。

早川:そうだと思う。論文を書く場合は、フォームがあるし、自分の考えを展開していくからやりやすいけれど、現代文の読解は自分と作問者のズレがあるときがありますよね。

木戸:そうなんです。作問者もできるだけ、客観的に作成しているとは思いますが、100%、意図を排除することはできないと思います、だから、もっと自分の考えを論述するような問題が出題されるような改革の方向性はいいのではないかと思います。

菅谷:問題の難易度の妥当性というのもあります。自分は、そういう観点で思い切って捨てるという判断を大事にしたと思います。

Q:そんな批判的な分析ができたというのは受験勉強は価値があったということですね?

早川:クラスの友人と、学びの方法や入試問題の分析方法をよく話し合いました。そういう価値は得難いと考えています。高校の勉強が意味があるかという疑問についても話し合ったことがあります。目の前の受験勉強を避けないで、そこを通して、自分で考える学びを見つけられると考えます。

木戸:やはり、部活動と受験勉強の文武両道という体験は、大切で、いろいろな人間関係や自分の技術をどう向上させるかなど、考える機会はいっぱいあります。受験勉強の向こうにあるものが価値がありますね。

菅谷:自分の好きなことから、学んでいくという体験は裏切らないと思います。受験勉強を通して、自分のやりたい道を探して欲しいと思っています。

 

 

工学院の進路指導(1)自分で踏み出すきっかけ

工学院大学附属中学校・高等学校(以降「工学院」と表記)といえば、グローバル教育とSTEAM教育を土台とした21世紀型教育です。しかし、今春同学院の歴史始まって以来の大学合格実績を出した学年は、まだ全面的に21世紀型教育改革システムが展開していない学年。
 
ただし、探究論文という21世紀型教育の中核的な学びの一期生ということもあり、興味と関心のあることについて、自分で考え、探究の道を、やはり自分で踏み出していく学びの習慣が浸透していたのです。
 
ある意味、これこそが21世紀型教育の肝で、現在、工学院がこのような新しい教育を展開できているのは、卒業生が自分で自分の道を踏み出す精神的なミーム(文化遺伝子)があったからだともいえます。
 
学校に限らず、イノベーションが成功する組織には、精神的な文化遺伝子ともいえる伝統が核としてあるからです。3人の卒業生との対話がそれを明らかにしてくれました。
                          by 本間勇人 私立学校研究家
 
 
(左から新井先生、木戸くん、早川くん、菅谷くん、平方校長)
【座談会参加卒業生】
木戸直輝 都留文科大学 教養学部 学校教育学科
菅谷遼太 法政大学 理工学部 電気電子工学科
早川拓未 中央大学 法学部 法律学科
 
Q:進路を決定した時期やそのきっかけになったのは何だったのですか?
 
木戸:私は、高1の段階で、教師になる道を決めました。もともと中学のとき部活と勉強の両立を目指すことを教えてくれた先生との出会いで、教師という仕事の重要性が気になっていました。
 
部活は軟式野球部だったのですが、工学院入学後も軟式野球部に入部しました。部活と勉強の両立をやり切るには、その部活は最適だったからです。
 
 
そんな思いが、高1のキャリアガイダンスである適性検査を受けて、その結果ではっきりと出てきたので、確信を持ちました。
 
その適性検査は、自己を見つめるデータや自分の将来の仕事の適性、学問選択の診断の参考データでした。
 
早川:自分は、なかなか進路が決まらなかった方だと思います。文系というのは決まっていたのですが、何になるかという進路先よりも、部活やいろいろな視野を広めることに興味と関心があったからだと思います。
 
ですから、高2になって志望校をいよいよ決める段階になって、迷っていたら、先生から声を掛けられました。具体的な指示はまったくなかったのですが、自分のやりたいことは何かについて、耳を傾けてくれました。その先生との話の中で、見えてきたのだと思います。
 
 
自分たちの学年から、高1から高2にかけて課題論文(現在は「探究論文」)を作成する機会が課せられました。自分のやりたい学問と社会の関係を考えることのおもしろさや論理的に考えることの重要性に気づくきっかけになりました。
 
自分の論文の担当の先生に個別に指導してもらえたのですが、解答を教えてもらうということは全くなく、調べ方や視野の広め方、編集の仕方、考え方を学べたと思います。
 
とはいえ、社会科の模擬試験の結果はあまりふるわず、暗記することよりも、数学という論理的に考えていけばよい科目が好きでした。入試も、英語と国語と数学で受けることにしました。
 
菅谷:自分は幼いときから決まっていたような気がします。ゲームが好きで、遊びながら、ゲームの仕組みが気になりました。そのうち、業界を驚かすようなゲームが次々登場するたびに、ゲームを作ることへの魅力を感じるようになりました。しかし、ゲームはお金がかかりますが、そんなにお金は使えないので、ゲーム機をたくさん買うことはできませんでした。
 
それで、中学頃からパソコンでゲームをやるようになりました。たぶん、パソコンを使ったことが、ゲームやコンピュータの仕組みの方に興味が移っていったのだと思います。ただ、進路や志望大学をはっきりと決めたのは、高1の文理選択のときでした。
 
Q:幼いころからだいたい決まっていたということは、早川くんが語っていた課題論文もゲームやパソコンに関して探究していったのですか?
 
 
菅谷:いやまったく違っていて、人工甘味料でした。コーラが好きだったので、興味と関心があるもの中からテーマを決めました。
 
Q:今、全く違っていると言ったけれど、どこか菅谷くんの理工系の道を歩く何かと結びつくような気がするけれどどうでしょうか?
 
早川:たしかに、ゲームやパソコンと人工甘味料という素材は違うけれど、その素材の背景にある仕組みについて、紐解いて論理的に導いていく、考えていくという点では、その姿勢は同じだと感じます。
 
木戸:それに、やはり好きなもの興味があるもの関心があるものを通して学んでいるというところは共通していると思います。深い学びにもっていく姿勢があると思います。
 
菅谷:どうでもいいことからはじまっていると思っていたけれど、2人にそう言われれば、なんだか照れくさいけれど、そういうものかなと。たしかに、ゲームを楽しんだり、コーラーを飲んでそれで終わりにするのではなく、作る側の目線で眺めている自分がいると思います。
 
Q:一般的に、進路について語るとなると、受験結果とか参考書はどんなものを使ったとか、勉強の作戦はどうしたかなどとなるものです。ですから、進路に対する自分の内面をここまで語れるというのはなかなか得難いと思います。今みなさんが話をしてくれたような進路に対する姿勢に工学院の先生方はどんな影響があったと思いますか?
 
木戸:もちろん、そういう基本的な内容も「合格体験記」に詳しく書きましたが、そうですね。工学院の先生は、何かをこうしろという指導はしなかったですね。自分が好きなものや興味があるものを大切にしてくれました。
 
早川:自分もそう思います。やはり自分で考えることを大切にしてくれました。論理的に考える過程も重視してくれましたし、情報はもちろん提供してくれました。具体的に指示するということは、先ほども語りましたが、なく、だいたいのことを教えてくれるというか、大枠は示してくれたと思います。
 
菅谷:そうですね。自分の担任の先生は、自分にとって必要なタイミングで必要なことを言ってくれるというタイプでした。自分では、みんなから見たらどうでもいいようなことをやっているなあと思いながらも、先生はそれを受け入れてくれていたと思います。
 
Q・木戸くんは、教師になると決めているということですが、今話に出たような工学院の先生はモデルになるのですか?
 
木戸:もちろん、教師像というのは、工学院の先生と重なると思います。私は、やはり子供が好きなものや興味のあるものから始めて、深く考えていく姿勢を大切にしたいと思います。
 
そして、何といっても体験は大事ですから、部活と勉強が両立できる環境を設定できる教師の情熱が理想です。私たちのときはまだでしたが、これから大学入試改革や学習指導要領の改訂がありますが、自分が教えることになる生徒は、そういう学びができる環境になります。教育原理などを学んでいるとそういうことがはっきり見えてきます。
 
早川&菅谷:木戸は、いい教師になるよ(笑み)。ほんとうにそう思った。(つづく)
 

正智深谷オープンスクール 自律開放協働系(2)

正智深谷の空気は、教師も生徒も共に自律開放協働系の精神で満ちています。このことが、21世紀型教育に舵をきることが速やかにできた大きな理由です。というのも、C1英語など、ハードルの高い英語力を目指すのは、挑戦の精神が必要です。開放的なポジティブな精神があるから、挑戦できるのです。

今や大学も企業も創造的思考力を求めているというのは、各種メディアで毎日のように目にし、耳にします。AI社会にあって、多くの仕事がなくなるが、それ以上に新しい仕事ができるという認識も今では当たり前になりつつあります。

しかし、言うは易く行うは難しです。どうやったら創造的思考力は育つのでしょう。それには、対話や議論が多いことが必要です。まずはやってみようというファーストペンギンの精神が必要です。困ったときは、1人で頭をかかえず、仲間とワイガヤができることが必要です。それでもわからなければ、外部の人や機関にリサーチに出かける必要もあるでしょう。

正智深谷では、正解が1つではない問題、最近大手予備校でも「思考力型入試」と呼ぶようになった問いをリサーチ、ディスカッション、プレゼンテーションというサイクルで学ぶPBL(プロジェクト学習)を授業に取り入れています。

体験授業ではずばり「PBL」という授業が行われていました。埼玉では、まだアクティブラーニングとかPBLという授業は広がっていないため、最初「PBLって何?」と部屋をのぞいて、不思議がっていましたが、ファーストペンギンの精神ある生徒が徐々に集まってきました。チームで「校則をつくる」というlearning by making型のPBLに我を忘れて没入し、議論し、プレゼンをしていました。
 

PBLは、あらゆる国で広まる21世紀型スキルを学ぶときにどうしても必要になる学びの空間です。そして海外で学ぶときは、やはり英語力が必要です。しかも世界の問題を将来多様な海外の人々と議論していかなくてはなりません。どうしてもハイレベルの英語力を無視できないのです。

英語体験は、同時にPBL体験にもなっていました。また数学の授業体験も驚きでした。確率について考える問題だったのでしょう。受験生全員にサイコロが配られ、実際にやってみながら、確率を考えていくアクティブラーニングが行われていました。

ICTを活用した教育も盛んですから、タブレット体験の授業もありました。多くの受験生が参加していました。

理科は五感と脳の関係を意識化する錯覚の実験を通して学んでいました。これもPBLです。在校生が助手よろしく、実験の素材や道具を配布していました。

サイコロ、実験、対話、議論、プレゼンなどPBLは、創造的な思考力を鍛える格好の学びです。知識のネットワークも広がり、その臨界点で既存の関係の限界にきて、新たな関係が生まれるという創造的思考。知識が大切にされているのは言うまでもありません。

このようなPBL型授業で育った総合力を活用するのが、ニュージーランド海外研修です。英語4技能をオンラインで学び、ニュージーランドの文化をリサーチし、現地で検証し新たな発見をして帰国。事後学習で深めていく。グローバルなPBLの学び。

そして、何よりニュージーランドの生徒との絆を結び、グローバルネットワークを創ってきました。国と国の関係が、政府による政治経済的な力によって形成されるだけでは、互いに理解し尊敬することはできません。このような1人ひとりの交流が文化のシナジー効果を生むでしょう。その絆を結ぶカギが深谷承知の自律開放協働系の精神です。

ニュージーランドの国旗の寄せ書きは、よき思い出であり、同時に未来を創るネットワークを示しています。(by 本間勇人 私立学校研究家)

 

 

 

正智深谷オープンスクール 自律開放協働系(1)

2018年年8月26日(日)正智深谷高等学校(以降「正智深谷」)は、オープンスクールを開催しました。会場は、数えることができないほどの参加者でいっぱいになりました。正智深谷は、埼玉県で唯一の21世紀型教育機構加盟校で、最先端の教育に挑戦しています。

PBL型授業及びC1英語、ICTを教育要素としていますが、この会場を埋め尽くす雰囲気は、同校の21世紀型教育に理解を示す受験生/保護者がたくさんいることを意味しています。埼玉県の受験市場にもウネリが起こっていることの証であり、埼玉の21世紀型教育を牽引する正智深谷の面目躍如となりました。

東大を頂点とした学歴社会にむけての受験指導が中心の20世紀型教育が多数を占めている埼玉にあって、正智深谷が21世紀型教育に思い切って舵をきることができるのは、今やあたり前のように各メディアの記事やテレビ番組でも発信されているようなAI社会とともに、学びの環境が大きく変わるという時代の精神を、いち早くしっかり読んでいるからであります。

しかし、ビジョンを立てただけでは、転換はそう簡単にはできませんが、正智深谷は、着々と21世紀型教育に転換しています。行事や部活、学業における教育の総合力で実績も出し、受験生の人気も獲得しています。いったい何がそうさせているのでしょうか?その秘密がオープンスクールで公開され、受験生、保護者、在校生、教職員全員で共有したのです。

オープンスクールでは、部活動と創造的思考力が回転する授業、ニュージーランド研修の活動報告のスペースなど、受験生が学校生活の全部を体感できるようになっていた。ある意味、文化祭のミニバージョン。

すなわち、ここでも教師主導のイベントではなく、教師と生徒の協働による運営が行われていた。部活動やニュージーランド研修は、生徒が前面にでて教師は背景に、授業では教師がファシリテーターとして前面に出て、在校生はアシスタント、主役は受験生というチームワークが生まれていた。

そして、吹奏楽やチアリーディングなどは、すばらしいパフォーマンスと同時にはやくいっしょに活動をしようというメッセージが伝わるものだった。

 

部活動は、いかに「協働」して活動しているかがすぐに伝わってきたが、実は個々のパーツが「自律」してトレーニングされていないと、協働もできないということも伝わってきた。「自律」と「協働」はセットである。

「自律」と「協働」はしかし、世の中に出ると、「個人」と「社会」の関係になる。この関係が、いかに断絶しているかそのアンビヴァレンツは、多くのメディアが毎日のように報道しているし、法律学、経済学、政治学、文化人類学、社会学、心理学、そして文学などで、永遠のテーマでもある。

にもかかわらず、正智深谷ではそこを解決し、自律と協働がつながっている。なぜだろうか。それは生徒会の活躍をみれば伝わってくる。

緊張した会場をおだたかな雰囲気にする司会や、会場に迎え入れるおもてなしの精神。

グローバル教育にも力をいれている正智深谷のおもてなし精神は、グローバルな世界に進めば、今度はウェルカムの精神に広がる。歴史的には、大乗仏教は、もともとグローバルであり、欧米に影響を与えていたのだから、同校の建学の精神がグローバル教育と親和性があるのは必然だったのかもしれない。

猛暑の折り、かき氷をつくる在校生。つくっている本人たちは大変だったと思うが、将来の後輩へのケアフルな気遣いが、正智深谷の人間的魅力を印象付ける。

この緊張感をほぐす和やかな気持ち、おもてなしの気持ち、気遣いこそ、「開放的な精神」のなせる業である。正智深谷の教育の魅力は、部活、授業、イベントなどを運営する教師と生徒が、それぞれ自律開放協働系の精神を大事して成長していく教育力にある。(by 本間勇人 私立学校研究家)

 

 

 

 

 

聖徳学園 創立90周年を起点に教育の質向上へ(2)

今回、夏期教員研修のプログラムの中で見学したのは、上智大学言語教育センター教授藤田保先生による「2020大学入試改革・これからの英語教育と教科間連携について」です。藤田教授は、言語学、バイリンガル教育の研究をされていますが、今回の改訂学習指導要領にもかかわっており、小学校の英語教科化の方法や実践など英語教育についても研究しています。

特に上智大学で行われているCLILという新しい英語教育の研究・開発・提唱者でもあり、CLILが小学校・中学校の現場に広がる契機もつくっています。

(13号館ラーニングコモンズにて)

また、今回の大学入試改革で大きな話題になっている外部英語検定試験の導入についても文科省にアドバイスもしています。上智が中心になって入試利用しているTEAPについても上智大学言語教育研究センター特任教授吉田研作先生と共に研究をしています。

さらに、今回の研修の前日カンボジアから帰国したように、同国で、<STPC(Summer Teaching Program Cambodia)>というボランティア活動をしている上智大学生のアドバイスもしている実践家でもあります。

このように、藤田先生は、幅広く多様な研究・開発・実践活動をグローバルに展開しているわけですが、実は聖徳学園の国際教育、STEAM教育などにおいても教師と生徒は多様でグローバルな探究活動を行っています。ですから、伊藤校長は、藤田先生の研究・開発・実践活動と聖徳学園の教育活動の相乗作用が生まれることを期待し、藤田先生に年間通してのアドバイスを依頼しています。

今回は、2020年大学入試改革とそれに伴う学習指導要領改訂において、従来と大きく変わる点をまず確認しました。幾つかある中で特に重要なのは、学力の3要素の明確化とその実現のための授業の変化です。3要素とは「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」がそれですが、これを実現するために、「主体的・対話的で深い学び」というアクティブラーニングが導入されます。

藤田先生は、教科としては英語の話を中心に進めるわけですが、今回の大学入試改革と学習指導要領改訂では、あらゆる教科に共通して、学力の3要素は求められているし、「主体的・対話的で深い学び」が現場に浸透するように方向付けられていることを確認していました。

これは藤田先生がかかわっているCLILという英語の教育方法が念頭にあったと思います。CLILは、英語のみならずいろいろな教科でも活用できる教育であるからです。しかも、今回「深い学び」とあるのは、「主体的・対話的な」活動、英語で言うならばコミュニケーション活動が、実生活の中で活用されることが必要になってくるということです。

その重要性がイメージしやくするために、カンボジアでの<STPC>についてケースメソッドを紹介しました。上智大学の学生が、どのようにカンボジアの子供たちと英語を学ぶのかそのプログラムを例に挙げたのです。

ここで、紹介されたのは、単語や文法といった知識を身につけることに偏らずに、英語を使おうという意欲を高めることを重視するコンセプトで実施されているプログラムでした。また、意欲を高めるために、カンボジアと日本の舞踊やパフォーマンスの違いの比較文化を行い、実際にカンボジアのプロを呼んで、鑑賞するなど英語を超えた内容を導入したり、実際に活用したりするアクティビティが埋め込まれていました。

授業と授業を超えたフィールドでの教育活動、英語と他教科のコンテンツにおける綿密な結びつきの創意工夫など、シナジー効果が生まれるケースメソッドです。おそらくこれは、伊藤校長にとっては、聖徳学園でもすでに始まっているという確認ができたと同時に、さらにシナジー効果という質をあげる大きなカギがあると確信したことでしょう。

そして、最後に進路の在り方の大きな変化が起こることが告げられました。それは「テストに出るから勉強する」から「勉強しているからテストで測られる」へ転換するというものでした。従来は、入試科目に関係ない教科や探究は、勉強しないという風潮があったが、授業で学んだこと、国内外のフィールドで学んだこと、4技能の英語を学んだことなど、すべてが評価の対象になるということでしょう。

「主体的・対話的で深い学び」を行ってきた、いわばポートフォリオすべてが評価対象になるわけです。学びの中で多くの時間数を占めているのが授業です。この授業の質がさらに向上し、国際教育やSTEAM教育などと結びつき、シナジー効果が生まれるようにすれば、教育の質向上は期待できます。

いよいよ伊藤校長の授業を中心とする教育の質向上のビジョンが実現の道を走り始めたのです。

                           (私立学校研究家 本間勇人)

 

 

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